将来の安心のために。「実家じまい」と「家じまい」を考える
不動産購入を検討する際、多くの方が「今後のライフプラン」も同時に考え始めます。
そこで注目されているのが、親の家や自身の住まいに関する整理――いわゆる「実家じまい」や「家じまい」です。
これは、単なる住まいの片付けではなく、相続や資産整理の第一歩ともいえる重要な行動です。
実家じまい・家じまいとは?
- 実家じまい:親の死亡や施設入居などに伴い、子どもが実家の片付けや売却などを行うこと。
- 家じまい:自身が元気なうちに、将来を見据えて自宅や財産を整理すること。
このような準備は、将来の相続・資産管理に対する不安を軽減し、家族への負担も大きく減らすことができます。
空き家問題と社会的背景
不動産の相続がきっかけで放置される空き家が、社会問題となっています。
国土交通省の調査によれば、相続に伴って発生した空き家が全体の半数を超えています。
また、「将来使う予定のない空き家」は2030年には約470万戸に増えるとも予測されています。
管理が不十分な空き家には以下のようなリスクがあります:
- 「特定空家」として行政指導・勧告を受ける可能性
- 固定資産税の増額
- ご近所トラブル(放火・ごみの不法投棄など)
空き家になった実家の対処法
不動産を手放す際には、活用方法を冷静に見極めることが求められます。代表的な選択肢は次の3つです。
① 修繕せずそのまま売却
もっとも手間がかからない方法。ただし、築年数が古い場合は、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあります。
② リフォームしてから売却
内外装を整えることで物件の魅力が増し、購入希望者が広がる可能性があります。事前に費用対効果をシミュレーションしましょう。
③ 解体して更地で売却
老朽化が進んだ建物の場合、有力な選択肢です。ただし、解体費用がかかるうえ、住宅用地の特例が外れるため、固定資産税が大幅に増えることも。
「家じまい」における注意点
不動産を整理する際には、次の点に特に注意が必要です:
- 権利関係の確認:名義が複数人の場合、売却や管理に支障が出ることがあります。
- 認知症への備え:判断能力が低下する前に、家族信託や後見制度の活用を検討しましょう。
- 相続登記の義務化(2024年施行):相続発生から3年以内の登記が必須になり、違反すれば過料の可能性があります。
- 空き家の定期的な管理:放置すると「特定空家」指定の対象になり、税負担や行政指導につながる恐れがあります。
活用できる税制特例や補助制度
条件を満たせば、売却時に以下のような支援制度を活用できます:
● 譲渡所得の3,000万円控除
一定の古家を売却した場合に適用され、譲渡所得から最大3,000万円が差し引かれます。(※2027年末まで延長)
● 相続税の取得費加算
相続時に支払った相続税の一部を、取得費として計上できる制度。譲渡益の課税額を抑えることができます。
● 自治体の補助制度
解体工事や耐震改修・リフォームに関して、地域によって補助金を受けられることも。早めの情報収集がおすすめです。
賢い住み替えの一環として「家じまい」を
「今の家を売って新しい住まいを購入する」「将来を見据えてダウンサイジングする」といった購入計画の裏には、
家族や資産の整理がついて回ります。
- 財産の棚卸し(不動産・現金・証券など)
- 認知症への法的備え(信託・任意後見制度)
- デジタル資産(口座情報・ID・パスワード)の整理・共有
こうした準備をしておくことで、ご自身の将来もご家族の安心も両方守ることができます。
まとめ:住み替えや購入を機に、住まいと人生設計を見直す
今まさに住まいの購入や住み替えを考えている方にとって、「家じまい」はタイミングのよいライフプランニングの一部ともいえます。
FFP不動産コンサルティング㈱では、
✅ 不動産の資産整理・活用
✅ 家族信託や法的手続きのサポート
✅ 納税・老後資金対策のご相談
気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
今このタイミングで動き出すことが、未来の安心につながります。